ミラーシェード

サイバーパンクの傑作ってなんですか?」で紹介されてた本。

頑張って読んでみたがスプロール三部作と同じように挫折した。全12編のうち9編まで頑張って読んだんだけど、どうにもその先を読み進めようという気にならない。正直何が書かれてるか分からない話が多すぎる。

サイバーパンクのキーワードに「幻視」ってのがある。ブルース・スターリングの序文にも「サイバーパンクはSFの中で生まれ育った幻視者に特別な愛着をいだいている。」とある。その幻視的体験を作者と共有し、疾走するテクノロジーの波に乗れた人だけがサイバーパンクの醍醐味を味わえるのだろうか。

いや、何編か面白い、というか分かりやすい話ももちろんあった。脳に「回線」を入れられその意識に<スネーク>が住み着いてしまった男と、「機械言語とアセンブリ言語を教え」てくれる同心円状の一連の球体からなる「アレフ」の物語「スネークアイズ」は、電脳というわかりやすいプロットと、「言語の代わりに音素の構造的集合が聞こえることがあった」という「サイバーパンク」らしい表現で読んでて楽しかった。一方「フーディニの物語」はそのタイトルの通り、稀代の(?)奇術師がマジックを行なう様を綴ってるんだけど、それだけ。特に「サイバー」らしい表現も出てこないし、何をおもしろがればいいのかさっぱり分からなかった。「ガキはわかっちゃいない」は「AKIRA」的な世界観を感じさせる物語。ガキのグループが荒廃した世界で「敵」と戦う話。敵対するグループとの共闘や、ちょっとクールさを感じさせるグループ名などのプロットはそのまま、いまでも近未来を舞台とした子供たちの物語でも使われており、懐かしさを感じる(って、こっちの方がずっと古い(1983年刊行)のだが)。次に来る「夏至祭」は内容はともかく「成功したドラッグ・アーティスト - トニー・ケイジ」ってのがカッコイイ。そこに自分のクローンであり、娘でもあり、そして恋人でもあるウィンが絡んでくる。基本的なストーリーは恋愛小説とも言えるが、ドラッグ、テクノロジー、アート、ビジネス、そしてストーンヘンジといった舞台装置が読んでいてすっきりと頭の中に入ってきた。今気がついたけど、この短編集の中で一番好きだった話かも。

そして次の「ペトラ」と読むのを断念した。なんか若干宗教がかった背景に謎の人物達が出てくるんだけど、まったくもって「幻視」に乗れなかった。

「赤い星、冬の軌道」は途中を飛ばして読んでみた話。宇宙ステーションの人間と、それを廃棄する決定を下した地球側の人間との相克がテーマのようなお話。サイバーな感じではないけど、スチームパンク的な匂いのする物語だった。結末も、打ち捨てられたステーションに一人残る老人と、新しく植民に来たっぽい若者の出会いで締めくくられる。面白いかと聞かれると微妙だけど、読む価値はあったように感じる。

というわけで、総じて面白いかどうかより雰囲気を楽しめるかどうかが評価軸だろうか。

ミラーシェード―サイバーパンク・アンソロジー (ハヤカワ文庫SF)

早川書房
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おすすめ度の平均: 4.0
4 まあまあのアンソロジー

posted by say · 2008年08月03日 19:06 · memo · Comment(1)

Comments 1

shigeya ·
上記ページみて、マイクロチップの魔術師借りてきて読んだのを思い出した。

最近、SFよんでないなぁぁ。。
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