リヴィエラを撃て

その昔、さいかわ先生が勧めてたのを聞いて読んでみようと思った本。

大河ドラマ的な(?)ミステリー。主人公のジャック・モーガンの幼少期から青年期、そしてそれを引き継ぐかのような手島修三の調査。裏表紙のアオリにもあるように、IRA、CIA、MI5とMI6、そして警視庁が複雑にからみあいながら時が流れていく。さらに、たんなるスパイ小説にとどまらず、ジャックとウー・リーアンの恋の行方、ジャックとサー・ノーマン・シンクレア、伝書鳩との友情を超えた心の交流。現在から始まった話は唐突にジャックの幼少期へと遡り、だんだんと現在に近づいていき、そしてそこからさらに時間は進んで行く。章の間にはさまれる手紙は現在から過去(物語の流れの上では「現在」)を見ているため一度読みきらないとなかなか理解できないところもある。そんなこんなで膨大な伏線を張りつつ(ミステリーやスパイ小説にはよくあるけど)、それが少しずつ収斂していくさまはなかなか気持ちがいいものである。

ちなみに、それにも増して登場人物がとても魅力的。
もちろんジャック。
 「全部だ…。僕は三つ全部を手に入れる」
個人的には伝書鳩がお気に入り。
 「あんたはモーガンとどういう関係なんだ?」「雇い主だ」
 「ジャック。君には感謝している。俺の腕では、あの車は撃てなかった。」
あとはジャックとシンクレアのからみもね。
 「サー・ノーマン」「サーは要らない」 :-D
キム・バーキンも。奥さんと仲直りできたらよかったのに…。

ただ結末に関しては、これがベストの結末かと感じられる反面、あまりにも救いがない気もする。たんに登場人物が不幸でかわいそうということではなく、そもそもの物語の根幹、究極的な目的がわりとあっさり「え?」というようなかたちで片付けられてしまう。たしかに結末までドラマチックじゃ、ちょっとクドイ気もするけど、でもなんだかこの結末じゃ寂しくない?

リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)
高村 薫
新潮社
売り上げランキング: 161163
おすすめ度の平均: 4.5
4 壮大な人間ドラマです。
3 国際派サスペンスとして一応読ませるが
4 どきどき…!
5 暗くて深い世界の闇を描く傑作
4 肉厚


リヴィエラを撃て〈下〉  新潮文庫
高村 薫
新潮社
売り上げランキング: 130053
おすすめ度の平均: 5.0
5 《国益》とは...
5 日本人作家の作品とは思えない
4 寒き地で幼い手を握りしめ
5 恋人たちの物語
5 それでも星5つ

posted by say · 2008年05月07日 00:40 · memo